ICD(植込み型除細動器)の埋め込み手術体験記
思いもよらず、ICDなるものを体内に埋め込むことになってしまいました。ICD埋め込み手術までの経緯はこちらの記事にかかれています。
心臓カテーテル検査のため入院し、その3日目にICDの埋め込み手術を受けることになりました。
ICD埋め込み手術
緊張の1日だった入院初日の夜から、ICU(集中治療室)に入り、3日目の朝9時にICUから手術室へと向かいました。
私はてっきりICD埋め込み手術は、全身麻酔だと思っていました。何もわからないうちに終わるんだからと安心していたら、手術室で局所麻酔と知り、びっくりでした。
入院初日からいろいろとゴタゴタバタバタしていて、手術の説明を聞いたのは、私の夫、家族で、私は説明を受けていませんでしたから…
そして、手術室で最初に言われたのが、
「もっと太ってください。ICDの形がわかってしまうから…」
ということでした。
私の体型が、肩の辺りにお肉がつかない体型なんですね。これは、太ってもちょっと難しいかもです。
心臓カテーテル検査の時と同じように、顔を何かで覆われていたので、何も見えません。
そして、先生が
「痛かったら言って下さい。麻酔を増やしますから…」
という言葉で手術が始まりました。
最初はちょっと意味がわかりませんでしたが、すぐにわかりました。
まず、肌に麻酔をします。その場所に、穴をあけるようにドリルのような感じのものを打ち込みます。その時に痛いと「痛い」と言えば、再度麻酔をしてくれます。その繰り返しです。
まず、麻酔、穴あけ、それを繰り返して、円にしていくような感じでした。ちょっとイメージがわきにくいかもしれないけれど、何も見えないので、そのように感じました。
ちょうど丸く円になっただろうと自分でも分かる頃にこの作業は終わりました。それ以降は、痛みはありませんでした。
と言うより、この丸い円を作った後、すごく眠くなってしまったのです。一度は我慢しましたが、私的には、手術が終わるまで寝てしまいました。
私的には、というのは、先生に、術後「手術中、失神をしていましたよ」と言われたのです。
まったく覚えていないので、寝ていたのか、失神していたのか、寝ている間に失神することってあるのか、よくわかりません。
しかし、この眠気は術後も続き、先生に
「この眠いのは何ですか?」
と聞くと
「それは、手術の鎮静剤のせいです」
と言われました。
やっぱり、寝ていたと思うんだけど。
全身麻酔ではなかったけれど、幸いにも、半分は何もわからないうちに終わってしまいました。
手術が終わると、心臓カテーテル検査の時の首の動脈からいれたカテーテルははずされていましたが、胸の真ん中から管が一つでていました。
手術中に、血圧が低下したそうです。私の何も知らない間に…
先生の話では、心タンポナーデか、冠攣縮性狭心症の発作が原因だと考えられるそうです。
心タンポナーデとは、右室リードの先端で右室を傷つけてしまい、心臓と心臓を覆う膜の間に血液がたまってしまい、心臓のポンプが拡張できなくなり、血圧がだせない状態になること…
この措置として、体外に血液を抜くように管をつけたそうです。
この一時的に血圧が下がったことにより、再び、ICUで翌日まで過ごすことになりました。
ICD埋め込み手術の感想は
ICD埋め込み手術を突然することになり、どんな手術かもわからずに始まってしまいました。
何をされるかわからないという恐怖感はありましたね。
カテーテル検査の時と同様、喉はカラカラ
痛みが感じられれば、麻酔を足してくれましたので、痛みに関しては、それほど心配することのない手術でした。
激しい胸痛を体験していたので、その痛みがこのICDで防げるならばと思えば、我慢するしかありません。
術後の様子
術後は、トイレにもいけず、ベッドの上で安静です。
入院2日目から食欲がまったくありませんでした。
手術の翌日には、ICUから一般病室へ移りました。でもまだ、ナースコールは、心配で、手に握り締めていました。
この頃は、まだ脚の付け根から抗生剤の点滴をし、鼻には酸素吸入の管をつけ、指先に心電図をはかる器具をつけ、胸に心電図をはかる装置を3つつけられ、管がいろいろと絡み合ってました。
そして、術後3日後、聴診器で聞いた胸の音がおかしいので、CTを撮るように言われ、胸に水がたまっていることがわかりました。
一般病室に移り、始めて体重を計った時に、4日間ぐらい食欲がなく、ほとんど食べていないにもかかわらず、2キロ、体重が増えていて、不思議に思っていました。
これは、胸水の重さだったのかもしれません。
驚くほどの量のおしっこがでて、だんだんと胸の水が減っていったのでしょう。体重も、2キロくらいずつ減っていき、最後にはいつもの体重より5キロくらい減っていました。
だんだんと一つずつ、管がとれていき、手術後10日目が退院の予定日でしたが、これが、延期になってしまいました。
酸素の取り込みがうまくいかず、鼻の酸素吸入がはずせなかったこと、レントゲンをみると、心臓が大きくなっていること、胸の水がまだ残っているのではないかということで、退院日が延びてしまい、ガッカリでした。
それでも、術後13日目で、無事に退院することができました。
埋め込んだICDはどんな感じ?
手術の傷跡は術後はそんなに痛みはありませんでしたが、怖くて埋め込んだICDの付近をみることができませんでした。
思っていたより、左胸の上の方、鎖骨の下辺りに埋め込まれていて、やはり異物感を感じます。
お見舞いに来てくれる人には、
「ほら、ここ!」
って、見せられるのですが、
自分では、見る勇気がありませんでした。
やっと鏡でみてしまった時、ICDが皮膚の上からはっきりと見えていました。
こんなんじゃあ、スーパー銭湯にも行けないじゃん!
今でも(術後1ヶ月)、鏡では見たくないし、お風呂に入っても、触りたくないので、そっと洗うだけです。
ペースメーカーをいれるってこんな感じだったんだと知りたくも無いことを知ってしまった感じ…
でも、仕方ありません、このICDがしっかりと働いてくれないと困りますから。
これからの生活
退院する前には、先生が、入院してからの経緯(ドタバタといろいろな事があったので、改めて説明を受けていなかった)、これからの生活で注意することなどを、お話してくださいました。
本当に、いろいろなことがあった入院生活でした。
生まれて始めてお正月を病院で過ごしましたし、16日間という長い間入院をしたのも、始めてでした。
自分では、健康で長生きすると勝手に思い込んでいましたが、こんな病気になってしまって、これからは、健康に注意して生きていかなくてはなりません。
ICDは、不整脈に関しての治療をしてくれますが、血管の痙攣を防いでくれるものではありません。飲み薬、貼り薬が命の綱となります。ICDが作動する前に、そのような症状がでないように、薬に頼り、祈るしかありません。
もう、あの激しい胸痛が起こりませんように!