振込詐欺にあった母親 未遂でも5キロ痩せたという心理的被害
母親が振り込め詐欺にあいました。自分は絶対に振込詐欺には引っかからないと言っていた母親。詐欺自体は未遂、お金を渡さないで済みましたが、その後の精神的ショックはひどかったようです。
母親が振込詐欺にあった!
私だって、まさか自分の母親が今流行りの振込めサギに会うとは思ってもいませんでした。
それは、朝10時頃、弟から突然電話がかかってきました。めったに電話などかかってこない弟なので、母親が具合でも悪くなったのかと、ドキドキしました。
しかし体調が悪いのではなく、母親が振込詐欺にあったという電話でした。
「これから事情聴衆だっていうから、多分緊張していると思うから、行ってくれないか?」という話でした。弟は仕事中で出られないという…
もうすぐさま飛んでいきました。飛んでいくと言っても、車で1時間半はかかります。
母親がどんな顔をしているか心配でたまりませんでした。
詐欺の全貌
振込詐欺の全貌はこうです。
電話がかかってきて、
「○○だけど…」と弟の名前を言ったそうです。
そして、黙ってしまったそうです。母親はビックリして、
「どうした?」
と聞き返しました。
すると、昨日買い物に行って、駐車場で車にカギをつけっぱなしにしてしまい、買い物から戻ると車の中に置いてあった会社の書類がなくなっていたというのです。
書類はもどってきたけれど、中に入れてあったお金がなくなっていた。
今日は会社を休んでいる、携帯はつながらない状態だという…
明日返すから150万貸してくれないか
というような内容でした。
ちょっと声が低いように感じたけれど、意気消沈してそういう声になっていると思ったそうです。
最初は、「○○駅まで持って来て!」 と言われたけれど、母親は足が悪いのでとても無理だから、××駅までタクシーで持っていくことになりました。
そして、銀行でお金をおろす時に何に使うか聞かれるからと言われ
「じゃあ、トイレの改修費ってことにしようか」
などと話をし、タクシーを呼んで大急ぎで銀行へ駆けつけました。
ちょうどその日は生協の配達日。ドアの所に、「急用ができたので~~~」と張り紙をして出かけました。
後でそれをみた私の息子は、「とてもおばあちゃんの字には見えなかった」と達筆の母ですが、あたふたして、字も乱れ飛んでいたようです。
銀行のATMでおろそうとしましたが、限度額は50万円。150万に足りません。
窓口へ行き、「なんとかしてくださいよ~」と受付の銀行員に言いました。
何か話をしたのか、「それは息子さんに確認した方がいいですよ」と息子のいる支店に電話をしてくれました。
弟は、その銀行の他の支店に勤めていました。犯人は、弟の名前も、銀行員であることも、母親が一人暮らしであることも知っていました。
母親は「今日は会社を休んでいるから」という言葉を信じていたので、弟が出勤していることを知り、
「へえええええ!!!!」
とびっくりしたそうです。
銀行の前にタクシーを待たせてありましたが、銀行の方が事情を説明して下さり、長くなりそうなのでまた後で来てもらうことにしてくれました。
それから、警察が銀行に来て、銀行で事情聴衆となりました。
振込み詐欺の精神的ショックは計り知れない
私が行った時はすでに事情聴衆も終わり、自宅に帰っていました。
「騙されちゃった!」と…
「自分は絶対に振込み詐欺にはひっかからない!」と言っていた自分がひっかかったことに、精神的ショックは大きかったようです。
もし金額がATMでおろせる50万だったら、渡してしまっていたでしょう。
ニュースで見ていても、50万という金額はあまり聞かないですよね。
危ない橋を渡って何人もでする詐欺の成果が50万では満足できないからでしょうか
もし、「150万おろすには印鑑が必要だから、印鑑を持って行って…」と言われていたら、すんなりとお金をおろすことができて、渡してしまっていたでしょう。
銀行員の方の機転で詐欺を食い止めることができ、本当によかったというしかありません。
なんとかお金を渡さずに済みましたが、もし150万円渡してしまっていたら、この精神的ショックははるかに想像を超えていたでしょう。
後で考えれば、おかしい点はたくさんあります。
弟の車は購入したばかり、今どきドアの鍵穴にキーを差し込む車なんてありません。まあ、年寄にはそんなことわからないでしょうが…
母親も昔銀行員でした。自分でも後で言ってましたが、会社の書類やお金を外へ持ち出すことはありえません。
弟とは前日の夕方、会ったばかりでした。
後で思えばおかしいことも、突然電話がかかってきて、落ち込んだ声で話をされると、息子可愛さのあまりになんとかしないと!とすべてを受け入れてしまう…
そんな親心を利用した悪質な詐欺が後をたたないのは、非常に悲しいこと…
信じてしまう計算されつくした演出、きっとみごとなんでしょうね。(と、感心している場合ではありません)
相手はプロ集団であること、これをきっちりと意識して対策をとらないとダメですね。
私も「絶対にひっかからない」と思っています。
もし、電話がかかってきたら、
「お金なんてないから、自分でなんとかしなさい!」と言ってやりたい
と思っているけれど、きっとみんなそう思っていてひっかかるんでしょうか。
あれから2か月位が経ちますが、先日母親に会った時は、顔にシワが増えていました。
5キロ痩せたそうです、精神的なショックで…
歳をとると、痩せると顔にシワ増えますね<(`^´)>
悔しい、悲しい、恥ずかしい想い
一人暮らしなので、話を十分する相手もいないで、一人で心にこもってしまう…
ますます心の負担が増えてしまっていたのかもしれません。
お金を渡さずに済んだにもかかわらず体重が5キロマイナス、
老後のためにコツコツと貯めてとっておいたお金を1000万とられたという高齢者の話もニュースで聞くことがあります。
一体、その方の精神的心の傷はいかばかりかと、周りの方が心のケアをしっかりとしてあげられればなあと思います。
高齢者は、今までの人生経験から、こういう時はこういうものと自分なりの判断基準が出来上がっている傾向にあります。そういう自分がひっかかってしまったと認めるにはたまらないものがあるでしょう。
人生経験豊富な先輩である高齢者を食い物にする振込詐欺は絶対に許せません。
なんとか撲滅できるよう、みんなで気を配り、目をみはり、努力したいものです。